ヒメフウロ Geranium robertianum ( フウロソウ科 フウロソウ属
 スコットランドはほとんどの地域が耕作地と牧場に利用されており、自然性が高い地域は河川沿いの急傾斜地ぐらいしか残っていない。そのような中、Millbuies country park を歩くチャンスがあった。入り口の看板には、年中開園しているということと、開園時間が記されていた。「夕暮れになってしまうか、夜の10:30まで」の文字は、なんとも緯度の高い地域で夜が明るいことを示している。

 この公園は、周囲がやや自然性の高い植林であり、中央にはため池がある。細長いため池の両端に堰堤があり、傾斜地のため池ばかり眺めている我々には奇異に感じる。公園内にはたくさんの植物が植栽されており、日本のスギやツガなども植栽されていた。



 公園の説明書には、自然散策やフィッシングに最適との文字も見えた。おりしも湖面に浮かぶボートでは、かなり大きな魚がヒットしていた。お父さんと小さな女の子。なかなかの風景であった。



 そのような公園の中、繊細なフウロソウの仲間が生育していた。霧雨の中、撮影のコンディションは良くなかったが、どうにか撮影したが、この公園以外ではお目にかかれなかった。北向きの斜面で、遊歩道のそばの切り通し斜面。斜面の上は森林なので、かなり日照は制限されている地域であった。
 調査から帰ってきて、スコットランドのインターネットサイトで同定でき、学名はわかっていたのだが、日本のヒメフウロと同種であるとは思っておらず、お蔵入りしたままにしておいた。しかし、ヒメフウロはヨーロッパ、アジア、北アメリカ、北アフリカなどに広く分布し、海抜は1500mまで分布するとのこと。世界に広く帰化しているらしい。拙宅の庭に生育しているヒメフウロはどこからやってきたのであろうか。花としては、スコットランドのものが最も美しい。
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top生物地球システム学科