アコウ Ficus superba var. japonica (クワ科 イチジク属) |
アコウは公園などに植栽されている場合には、特有な根が地表に現れていない場合があり、葉を間じかに見ることができないとわかりにくい。葉の長さは8〜15cmと比較的大きく、葉柄が長く、枝先に葉が集まることに注目するとわかりやすい。夏には隙間無く葉を展開しているが、秋になると葉を少し落とし、枝の先端だけに集まって葉が残っている。春になると一斉に葉を交代させ、新鮮な葉が美しい。
アコウの果実は、若いときには緑色であるのは当然。冬には赤く熟すが、白い斑点があって面白い。枝先だけではなく、太い枝にも果実が付く特徴があり、葉が無い部分にも果実ができる。しかしながら、日照条件にも影響を受けるわけで、公園木や街路樹などでは果実がなっているものが多い。
高知県の室戸岬の突端、海岸の岩場にアコウが生育している。昔、学会で高知を訪れた時にも見た記憶があるが、その時もびっくりしてたくさん写真を撮ったはずで、比較したかったのだが写真が出てこない。石にまとわり付いている姿を見ると、行ったことのないアンコールワットを連想する。気根を出す能力が高いのか、空気中の湿度が高いのか、これもまたオドロオドロシイ姿である。
沖縄の首里城、種名が掲示されているアコウの根は、地表面を覆って広がっている。奄美大島の護岸に生育している若いアコウを見ると、同じ場所に生育しているガジュマルに比べて太い根が多い。地表面に達した根は土中にもぐらずに地表面を這うように伸びていく。この点は、ガジュマルと生態的に違う点であろう。
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