オオカナメモチ Photinia serrulata (バラ科 カナメモチ属) |
時折、激しいマツ枯れの跡地や道端などで鋸歯の荒い大きな葉を見つけ、なんだろうと思っていた。マツ枯れの跡地で、同じ場所を何年かかけて調査しているうちに、オオカナメモチであることがわかるように生長した。成木の葉と幼木の葉は大きく印象が異なる。若木は近隣の植物園から供給された種子から芽生えたものと思われた。生育していた場所は植物園のオオカナメモチの植栽場所から直線距離で600mほどの尾根筋。果実を食べた鳥がマツガレ木にとまって糞をしたに違いない。その目で見ると、結構オオカナメモチの稚樹が見つかるようになった。道路の法面などでは刈り取られてしまうことも多いが、山中のマツガレ跡地では大きくなりつつあるものも見られる。しかし、幹が細く、倒れ掛かってしまうことも多い。大きな葉の形成には、それなりに栄養分が必要なようで、芽生えの立地はそれなりに土壌が形成されている場所であった。長期間にわたって強い日照が保障される立地であって、豊かな土壌が形成されている場所、そのような矛盾した条件を欲することが、本種の生育を困難にしているものと思われる。
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