イロハモミジ Ace palmatum (ムクロジ科 カエデ属
岡山県奥津渓のモミジ
 イロハモミジは福島県以西の本州、四国、九州、朝鮮に分布する落葉の小高木。主に太平洋側の低山に生育する。葉は5〜9つに掌状に分かれ、やや荒い鋸歯がある。タカオカエデ、イロハカエデとも呼ばれ、庭園等にも広く植栽されている。4月から5月にかけ、葉の展開直後に紅色の雄花と両性花が混在した花序を形成する。和名の由来は、葉の裂片を数えるとき「イロハニホヘト」と数えたことに由来するという。しかし5裂であることも多く、特にシュートでは5裂のことが多い。秋の紅葉は美しく、各所で秋の彩りとなっている。

イロハモミジ Ace palmatumイロハモミジ Ace palmatum
イロハモミジの新緑花を咲かせたイロハモミジ
イロハモミジの花序雄花
若い果実イロハモミジの紅葉
 イロハモミジはオオモミジとよく似ている。オオモミジはイロハモミジの変種とされていたが、現在は別種とされている。よく似てはいるが、かなり性質が異なっている。区別点としては、イロハモミジの葉は鋸歯が大きく、翼を持つ2つの果実が水平に開いている傾向がある点で区別できるとされるが、中間的なものもあって、困ることもある。標本を採取する際や、剪定する際に気づいたことであるが、イロハモミジの枝はもろくて折れやすい。成長は早く、枝先のよく伸張してシュートを形成しやすい。この点は簡単な区別点であると思っている。オオモミジが自然林の中で巨木となるのに比べ、イロハモミジは生長が早く、比較的短命であると考えられ、二次林などによく生育するものと思われる。
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