イワガラミ Schizophragma hydrangeoides (ユキノシタ科 イワガラミ属
 イワガラミは本州・四国・九州、朝鮮に分布する木本性の落葉ツル植物。主にブナ林などの夏緑広葉樹林の樹幹や名前の通り、岩などに這い登って生育する。茎は多数の気根を出して樹木などに付着し、特に渓畔林や林縁、倒木によって形成されたギャップなどでは幹を登って高木層に達するほどに生長する。
 葉は対生し、長さ5〜12cmであるが、大きさは変異に富んでいる。縁には荒い、やや不規則な鋸歯がある。表面は主脈腋にけ毛があり、裏面は緑白色で主脈および脈腋に毛がある。葉柄は葉身とほぼ同長で長い。花は5月から7月にかけて咲き、枝先に花序を形成する。中心部には小型の両性花がたくさんあり、周辺には1枚の白色の萼からなる装飾花がある。
 生態的にも形態的にもよく似た種にツルアジサイ(ゴトウヅル)がある。装飾花が違うので、花が咲いていれば間違うことはないはずであるが、高木に登ったものでは双眼鏡がなければ判別しにくく、葉の形もよく似ている。典型的な葉では区別が容易であるが、林床の地面を這っていたり岩に付着しているものでは区別に困ってしまうことも多い。


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