ユキノシタ Saxifraga stolonifera (ユキノシタ科 ユキノシタ属) |
ユキノシタは本州、四国、九州に生育する常緑の草本。沢沿いの岩場など、湿り気の多い半日陰の場所に生育する。民間薬に使用されることもあって庭先にもよく植栽されている。やや湿った場所でよく生育し、日陰にもよく耐える。昔は井戸のほとりによく生えていたものである。葉は円腎形で葉の表面には葉脈に沿った模様がある。葉の裏面は紫色を帯びており、特に若葉で鮮やかな紫色となる。5月から6月にかけ花茎を伸ばして多数の花を咲かせる。 花に先立ち、地表面に多数の匍匐茎を出し、その先端に新しい個体を形成する。もっぱら繁殖はこの栄養生殖に頼っているようで、果実が形成されたのは見たことがない。このような繁殖形式は岩場などの生育地に適している。 和名のユキノシタは白い花を雪が降るのに見立て、その下に緑の葉がある様子を意味しているという説があり、そうであれば風流な名前である(雪の下でも緑葉を維持しているとの意味でも良いような気もします)。葉は火傷などに貼り付けたり、絞り汁を熱冷ましに利用するなどの民間薬として利用される他、葉を天ぷらにして食べるなどする。裏の赤い葉は浸透圧の実験に使われる。 |