キブシ Stachyurus praecox (キブシ科 キブシ属)
キブシは全国に分布する落葉の低木。谷沿いに生育し、直立すると言うよりも明るい方向に枝を伸ばして垂れ下がるイメージの樹形である。葉を展開する前に花を咲かせる。秋にはつぼみを付け、秋に果実が稔るので、一年かけてつぼみを作り、開花・結実を行っていることになる。葉はサクラ類に似ており、標本にすると葉脈の凹凸が不明瞭になってさらにサクラに似てくる。
キブシは木五倍子である。五倍子はヌルデの虫こぶに含まれているタンニンを染料として利用したものであり、キブシの果実を五倍子の代用として利用した。派手ではないが、春一番に花を咲かせ、茶花として利用される。