クワモドキ(オオブタクサ) Ambrosia trifida L. (キク科 ブタクサ属) |
かなり昔になるが、紀ノ川の調査でクワモドキの大群落を調査したことがある。草丈3mほどのクワモドキの群落である。群落の中は暗くて他の植物は少なく、見上げると木漏れ日の中、花粉がゆっくりと落ちてくるのがわかる。タオルをマスク代わりにしての調査であったが、調査を終わった段階ではタオルは黄色、群落を抜け出した小生の愛車も白色であったものが黄色になっていた。大変な量の花粉である。
岡山市を流れる旭川で魚の生息・繁殖をターゲットにしたビオトープ作りが行われた。かなり大規模なものであったが、工事で発生した裸地には一面にクワモドキが生育していた。土壌は礫質ではあるのだが、礫間に微粒成分が結構多い。場所によっては土壌が良好であるようで、6月の半ば時点ですでに草丈は1.5mを越えている場所もある。子供たちも訪れることを期待した施設ではあるが、花粉症の元凶とされる植物の大群落の発生は困ったものである。クワモドキは一年草なので、長期的にこのような群落が形成されるとは考えにくいが、元来のツルヨシやオギが回復するには相当な時間が必要であるかもしれない。河川工事において留意すべき点である。紀ノ川における調査では、クワモドキの大群落が形成されている場所は、ほぼ例外なく河川工事が行われた場所であった。紀ノ川が特に富栄養化が進行しているわけではなく、全体的に土壌に粘土などの微粒成分が多く含まれており、河原土壌の物理性そのものが植物の生育に適しているからである。このような場所で、跡地回復に配慮しない土木工事が行われるとクワモドキが侵入し、草丈の高いオオブタクサが勝利者となってしまう。花崗岩地域を流れる河川では砂や礫の多く、乾燥しやすい土壌である事が多く、あまり心配は要らないかもしれないと思っていたが、昨年行われた河川工事の跡地にクワモドキの大群落が発生しているのを見つけた。 |
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