サワオグルマ Senecio pierotii (キク科 キオン属) |
サワオグルマは本州から九州に分布し、温帯から亜熱帯に生育する。山間の湿地に生育するので北方系かと思っていたら、世界的な分布で見れば、南方系であるわけで、なるほどミズゴケ湿原には生育しないのは当然であった。湿原というより、名前の通り沢筋に生育する。開けた流れの緩やかな谷が生育地であろう。 全体に大きく、高さ80cmほどになることもある。茎は太く、中空で指で簡単につぶすことができる。全体にくも毛があるが、オカオグルマほどは目立たない。よく見ないとわからない程度である。植物体の色は全体に濃緑色で、茎や葉柄・中脈は赤色を帯びる。 岡山県の自然保護センターにGW直前に行って見た。この季節に訪れるのは久しぶり。サワオグルマの開花が見られるかもしれないと密かに期待しての来訪であったが、遠目にタンポポの開花と見間違うほどの開花であった。この地でサワオグルマの開花を見つけたのは1991年の春であり、自然保護センターの建設中のことであった。放棄水田にわずかに咲いていた程度であったが、その後26年を経て見事なお花畑となっていた。 年中湧き水のある沢田、放棄される前はその周辺に細々と生育していたに違いない。放棄されてからは、まさに我が世の春ということになるが、現在のように花開くためには毎年の草刈が欠かせない。自然保護センターもニホンジカの襲来に悩んでいるが、自然状態ではこのような草食動物がサワオグルマの生育を手助けしていたのかもしれない。 |
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