ヤグルマギク Centaurea cyanus Linnaeus (キク科 ヤグルマギク属
 端午の節句が近くなると、ヤグルマギクが咲き始める。南東ヨーロッパ原産の越年草で、元々は小麦畑の雑草であったものが品種改良されたという。4月の終わり頃から初夏にかけ、青・紫・桃・白などの花を咲かせる。原産地が地中海気候的な要素が強い地域であり、秋に芽生えて春に花咲かせるナノハナなどと同様なライフサイクルなのであろう。

 キクの頭花は通常多数の小花から構成されているが、ヤグルマギクには舌状花がなく、長い筒状花が周辺に一列並び、中心部には花筒の短い筒状花が位置している。真上から見ると長い筒状花の基部が透けており、鯉のぼりの先端に付ける矢車になぞらえた名前となっている。矢車草とも呼ばれるが、ユキノシタ科のヤグルマソウがすでに存在するので、矢車菊と呼ぶ。

 英語名は cornflower(麦畑の花), bachelor's button(学士さんのボタン), bluebottle(青い壷), boutonniere flower(ブートニエーレの花), hurtsickle(鎌痛め), cyani flower(あさぎ色の花)など。基本的には美しい青色の花に着目した名前で、麦畑の雑草であるにもかかわらず、親しまれ、愛されていたことがわかる。
ヤグルマギク Centaurea cyanusヤグルマギク Centaurea cyanus の花
ヤグルマギク Centaurea cyanus の花ヤグルマギク Centaurea cyanus の花
ヤグルマギク Centaurea cyanus の花ヤグルマギク Centaurea cyanus の花
鯉幟矢車
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