マツムシソウ Scabiosa japonica (マツムシソウ科 マツムシソウ属
 マツムシソウはブナ帯域などの山地草原に生育する。この画像を撮影した場所は、岡山県森林公園の海抜約1000mほどのピークである。周辺には背丈の低いブナが生育しており、放置すればやがてブナ林へと遷移する立地である。園路整備のために丁寧に刈り取りがなされており、山頂付近は草地となっている。マツムシソウの開花がない時期には、お弁当を食べる広場になっているに違いない。山頂に至る幅2mほどの山道ではまったく生育が見られなかった。ロゼットを形成する植物なので、他の背丈の高い植物が生育すると生育が困難であるはず。刈り取りだけでは他の植物がすぐに生長してしまい、生育が困難なのであろう。マツムシソウやアキノキリンソウなどが群生する美しい草原ではあるが、人間の作り出した自然の一つである。
 本来の生育地はどんなところであろう? と探してみると、傾斜45度を超える急傾斜地の露岩のそばに点々と開花しているのが見える。このような、積雪と雪崩のあるような急傾斜地では樹木の生育がほとんどなく、マツムシソウも生育が可能と思われた。温暖化が進行すると積雪が少なくなり、樹木が定着してこのような植物の生育は困難になるのではないかと思う。


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