マメガキ Diospyros lotus (カキノキ科 カキノキ属)
 マメガキはシナノガキあるいはブドウガキとも呼ばれる中国原産の落葉高木である。果実は直径1.5cmほどで小さく、これが豆柿あるいは葡萄柿の名前になったのであろう。秋に山を歩いていると小さなカキに出会う。しかし、そのほとんどはカキノキである。カキノキとの違いは、葉の光沢と形である。マメガキの葉は基部と先端が細く尖って、すっきりとした形。カキノキの葉が丸い印象があるのに比べ、カシ類の葉に似た印象がある。葉柄が長いのも特徴。畑の周辺などに植栽されたものや野生状態のものもある。
 マメガキは渋く、熟しても食べられないとのこと。カキの渋はタンニンであるが、カキノキでは果実が熟すと渋柿であっても甘くて食べられるようになる。タンニンが不溶性に変化するからである。小生は柿渋を採取する作業を手伝ったことがある。マメガキをたくさん採取し、臼に入れて足踏みの杵でつき、袋に入れて搾って柿渋の液を採取するのである。
 タンニンは防腐性が高く、ビニールなどの石油化学製品が出回るまでは重要な物質であった。麻縄や魚網を浸すと腐らなくなり、長期の使用に耐えるようになる。紙に塗りつけると渋紙となり、半透明となって水にも強くなる。和傘や提灯の紙に利用し、ビニールハウスのようにも利用した。例えば、寒冷地における保温雪中苗代である。
岡山市後楽園のマメガキ
岡山県真庭郡神庭の滝のマメガキマメガキの果実
マメガキの葉葉の裏面:灰白色で脈上に毛
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