ヒメツルコケモモ Vaccinium microcarpum (Turcz.) Schmalh. ( ツツジ科 スノキ属) |
ヒメルツコケモモは北方の湿原に生育する小型の木本。北半球の高緯度地方に広く見られ、日本では北海道や、尾瀬ヶ原など本州の高山の湿原にまれにみられる。ミズゴケ湿原に生育し、ミズゴケのブルト(ミズゴケが盛り上がった部分)の上に生育する。茎はきわめて細く、太さ1mm程度で白色の毛が生える。葉は長さ4mm、幅2mmとごく小さく、葉の縁が裏面に少し巻き込む。花柄は茎頂から細く伸び、1花を夏に咲かせる。実は赤く秋に熟す。形態はツルコケモモによく似ているが、全体にさらに小型で繊細であり、花柄に毛の無い点が区別の目安になる。 ヒメツルコケモモは、その存在に容易に気がつかないほど小さい。貧栄養な湿原と、生育期間の短い寒地に適応した結果なのであろう。北海道よりさらに北方の地が古里なのかもしれない。 |
文章・画像:太田 謙 |