ネズミモチ Ligustrum japonicum (モクセイ科 イボタノキ属) |
ネズミモチは樹高5mほどになる常緑の小高木。中部地方以南の本州・四国・九州の、主に太平洋岸に生育する。葉は厚くて楕円形、きょ歯がない。初夏に白色の花がたくさん付く。花弁は4、雄しべは2本である。秋に1cm弱の楕円形・紫黒色の果実を付けるが、花の数に比べると随分と少ない。おそらく途中で落ちてしまうものが多いのであろう。この果実を「ネズミの糞」に例え、葉の質感がモチノキの仲間に似ていることからネズミモチと和名が付いたのだといわれているが、今時ネズミの糞を見たことがある学生も少なく、説明には一苦労である。
よく似た種に中国原産のトウネズミモチがある。イボタなど、同属の樹種には落葉の種が多いので、常緑のネズミモチは奇異に感じるが、花の構造や葉が対生である点などを見ると、納得がいく。夏緑広葉樹林から遷移初期の常緑広葉樹林に広く見られる。芽生えは数多いが、大きくなるものは多くはない。枝はよく分岐して広がるが、高くなることは少ない。 |