ハクサンコザクラ Primula cuneifolia var. hakusanensis
 白山を登る道のそばにしゃもじ形の葉が見える。花は終わり、小さな果実が稔りつつあった。8月も半ばになると残雪はほとんど残っておらず、緑も濃くなってハクサンコザクラの花には出会えないとあきらめかけていた時、室堂平で自然観察ガイドの方が、あちらの方で咲き残っていると教えてくれた。生育しているならば、このような地形であるはず、と見定めて探してみると、歩道から数m奥にピンクの花が見えた。翌日には画像には残しにくい姿になったので、ぎりぎり最後の撮影となった。生育地は、おそらくつい先日まで上流には雪渓がわずかに残っていたと思われる、凹地である。
 ハクサンコザクラは本州の日本海側、白山から東北地方に分布する多年草。ハイマツ帯などの雪田など、湿った場所に生育することが多い。葉は長さ数cmでしゃもじ状。上半分には不規則な鋸歯があり無毛。花は7月から8月に咲き、高さ5〜10cm程の花茎に数個の紅紫色の花を付ける。北海道からアラスカにかけては、基本種のエゾコザクラが生育する。
ハクサンコザクラ Primula cuneifolia var. hakusanensis
ハクサンコザクラの花ハクサンコザクラの葉
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