ジギタリス Digitalis purpurea (ゴマノハグサ科 ジギタリス属) |
ジギタリスはヨーロッパ原産の植物で、キツネノテブクロ Foxglove とも呼ばれる。観賞用に栽培されるが、毒草であり薬草としても使われる。二年草あるいは多年草との記述があるが、同じ場所に毎年生育することが多いので(日本では)、小生は多年草と思っている。日本では栽培されるというイメージが強く、帰化植物的な状況は見たことがない。栽培植物よりも野生の植物に重点をおいているので、ジギタリスは長らく掲載のチャンスがなかった。 ここに掲載した画像はニュージーランド南島、Mt. Cook のふもと。氷河の造ったモレーンや扇状地の礫原に、自然の中に調和した様子で生育していたものである。自然植生への侵入であるが、小規模な土砂が移動した跡地などでの生育である。氷河の先端が見られるような立地であり、亜高山帯に相当するのではないかと思うが、温帯の上部と思ったほうが良いのかもしれない。どちらにしても競争相手の少なさが自然植生への侵入を可能にしているのであろう。 ジギタリスの学名の種小名は紫色を意味する purpurea であり、紫色の花がスタンダードなのであろう。時折白花の個体が混ざっており、コントラストを見せていた。栽培品種からの帰化であり、白から紫までの多彩な花色があって、エクセシオール グループと呼ばれる園芸品種群ということらしい。美しさゆえの繁茂という側面もあろう。花の中をのぞいて見ると長い毛が生えており、虫の吸蜜の際に花粉の体への付着・受粉を確実にしている。 |