イヌホオズキ Solanum nigrum L. (ナス科 ナス属)



 イヌホオズキは世界の熱帯〜暖帯に分布。日本には古い時代に入ってきたものとも思われており(史前帰化),北海道〜琉球に普通に見られる。
 名前は,役に立たない酸漿(ほおずき)との意味。全草に毒がある。左上の全草の写真のモデルは,ヒラナス(別名カザリナス。持ち主は花ナスと言っていた。)と,唐辛子の観賞用栽培種の植え込みの中に生えていたもの。持ち主は,どれも似たかわいい花がつ付くので雑草と気づいていない。有毒なだけに危ない危ない・・・。

 全草は比較的貧弱に直立する傾向が見られる。枝振りに乏しいからであろうか。
 良く枝を分け,斜上,或いは横に広がる傾向が強いアメリカイヌホオズキとの区別点のひとつである。他,茎が黒紫色に染まることが多いのも本種の特徴である。
 花弁はあまり強く反り返ることはない。白色で,付け根当たりの黄色い三角模様がよく目立つ。
 アメリカイヌホオズキは花の色が薄紫がかることが多いので,花の色も一応区別点になるのでしょうか。
 花序は総状をなす。つまり,中軸が明らかで,順次開花し果実が実るが,込み合っているとわかりにくい。

 葉はかさかさとした感触で,この個体は表面・縁・裏面ともに,やや伏した短い毛が散生している。
 葉形は卵形で,多くは波形の鋸歯を持つというが,この個体では明らかではない。
 葉の基部はくさび形で,翼のある葉柄へとつながる。
 果実はツヤがないとされている。どんなもんでしょうか。花序が総状をなすという本種の特徴は,確認できます。
 黒っぽい茎には低い綾がある。

 イヌホオズキは,畑や道ばたに生える1年草。最近では,耕作地周辺は,アメリカイヌホオズキの方が多いような印象があり,もっぱら条件の悪い路傍や荒れ地等に点々と生育しているような気がする。
By Y. Nanba

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