ヒメワタスゲ  Scirpus hudsonianus (Michx.) Fern.
 ヒメワタスゲの茎は細く、やや硬い。葉は線形で、基部の葉鞘は膜質となる。根茎からは数本の茎が伸びて、群れて生える。根茎はあまり長くは伸びず、新しい茎を出しながら、横向けに伸びていくようである。
 ヒメワタスゲは北半球の北部に広く分布しており、周極分布とよばれる分布の様式を示す。同じ分布のパターンを示すものには、モウセンゴケや、ヤナギランなどがある。こうした周極分布する植物達は北方系の周極要素とよばれ、基本的には高緯度の寒冷な地方に分布している植物たちである。湿原には、寒冷な氷河期に分布を南に広げ、氷河期が終わった時に取り残された北方要素の植物たちが生育していることが多い。
文章・画像:太田 謙
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