ケネザサ Pleioblastus fortunei forma pubescens (イネ科 メダケ属) |
ケネザサの草原 森林を調査していると、中にはいるのがいやになるほどのケネザサが繁茂している森林や草原に出会うことがある。森林である場合には、高木はまばらで林内はケネザサが繁茂できるほどの明るさがある場所である。いったん、これほどケネザサが繁茂してしまうと、新たな樹木の侵入はほとんど不可能であり、当面ケネザサの優勢が保証されている。 このようなケネザサの繁茂した植生は、どうやら過去の農耕と関係がありそうである。終戦直後の航空写真を見ると、集落の周辺の山々には各所に畑が作られていたことがわかる。これらの畑は次第に耕作が中止されたが、これら放棄耕作地には立地に応じて森林やクズが繁茂する群落、ケネザサの繁茂する群落など、様々な植生が回復してきている。一度耕作されているので土壌は比較的良好であり、立地条件、肥沃の度合い、耕作放棄された時期や周辺植生などによって耕作放棄直後の植生は大きく異なり、その後の植生の回復過程も異なってきたものであろう。 冬季には、多くの葉は枯葉の状態となる。その傾向は特に日当たりの良い場所で顕著である。このような群落は、山林火災が発生すると広く延焼しやすい。岡山県は山林火災の多発地の1つであるが、発生頻度は地質によって異なっている。森林植生が発達しやすい古生層地域では山林火災の発生件数は少ないが、このようなケネザサの繁茂する耕作放棄地では注意する必要がある。 |