クロモモドキ Lagarosiphon major  トチカガミ科 クロモモドキ属
 本種はまだ和名のない帰化植物で、筆者は2009年の秋頃、岡山市内の水路で確認した。恐らく、アクアリウム等の観賞用目的で国内に移入されたと思われる。ヨーロッパ、ニュージーランドにはすでに定着しており、オーストラリアでは法律で輸入・栽培が禁止されているようである。

 筆者の観察では、流れの緩やかな場所に多く、同じく帰化種のオオカナダモとニッチ競争をしているようである。岡山県の三大河川の1つの旭川では、すでに多くの場所でオオカナダモと入れ替わっているようである。
 本種は雌雄異株で、水路等の底に定着し、純群落を形成する多年生草本である。葉はカールし、輪生のように見えるが互生であり、螺旋状になっている。南アフリカ原産で、水温が高い水域を好んでいるように思える。夏には水路で大繁茂していたが、冬には大半が姿を消し、常緑のオオカナダモが目立つようになっていた。水中写真は個体数の少ない冬に撮影したものである。筆者はまだ帰化したクロモモドキが開花しているのを確認していない。

 写真2,4(中段左、下段)のクロモモドキは、筆者が観察のために水槽で飼育していた個体である。水路での水中写真の個体とは形態がかなり異なる。もしかすると、水路のように水流がある環境では、水の抵抗を減らすために、葉が細くなっているのかもしれない。これは非常に興味深い生態である。

注:本ページが作成された時点では和名が無かったので、ラガロシフォン・マヨールとして表記していたが、角野(2014)により和名が付けられたので、クロモモドキに改名改訂した。
写真1:クロモモドキの水中写真
写真2:左からコカナダモ,オオカナダモ,クロモ,クロモモドキ写真3:クロモモドキ
写真4:葉の比較、左からコカナダモ,オオカナダモ,クロモ,クロモモドキ

文章・画像:時光 秀彰
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