オニユリ Lilium lancifolium (ユリ科 ユリ属) |
礼文島の民宿近くの斜面、一面に朱色の花が咲いていた。林道沿いにも点々と生育していたので、ご当地特有のユリかと思ったのだが、実はオニユリだった。オニユリは日本全国、朝鮮・中国に分布する多年草で、庭園などによく栽培される。栽培条件がよいと草丈は2m近くにもなる。葉腋にムカゴができるので増殖は簡単であり、小生もムカゴをもらって帰って数年で開花させた記憶がある。コオニユリとよく似ており、貧弱なオニユリとコオニユリは区別しにくいが、茎に毛があること、葉腋にムカゴができることで区別できる。両者を比べてみると、葯の色はオニユリの方が色が濃いようで、黒紫色であることでも区別できそうである。 オニユリは3nであり、不稔であって、ムカゴで増殖する。ヒガンバナと同様に、中国からの渡来植物である可能性が指摘されており、そのように指摘されるとなるほど! と思う。そうであれば、古代の人々もポケットの片隅にヒガンバナの球根やオニユリのムカゴを忍ばせてやってきたわけで、自然をめでる心は昔から変わらないものなのであろう。 |
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