チューリップ Tulipa gesneriana (ユリ科 チューリップ属
 チューリップは地中海沿岸東部から中央アジアにまたがる地域が原産の多年草。古くから鑑賞の対象として注目されていたらしく、16世紀頃の伝播の様子が記録されている。16世紀の終わり頃にはオランダで栽培が本格化したらしく、いくつかの品種が作られていた。
 球根を買ってきて花壇に植えるのは簡単であるが、栽培して次の年も見事な花を咲かせようとするのは意外に難しい。元々の生育地が地中海であることを理解する必要がある。地中海の気候は冬は温暖多雨であり、夏は高温・乾燥である。日本の気候では、冬に乾燥することが多く、栽培は日本海側の新潟県など冬の湿度が高い地域で行われてきた。一時は海外に輸出するほどであったが、現在は円高のために廃れているに違いない。
 花芽の形成と開花には、球根が20℃程度の高温にさらされ、その後に0℃程度の低温である期間が必要である。葉が枯れて収穫した後に、すぐに冷暗所にいれてしまうと花芽ができない可能性があるわけである。球根を収穫した後は、地中海と同様な高温・乾燥の条件にしてやる必要がある。市販されている球根はこのような温度に関する処理が行われており、確実に開花が楽しめることになっている。
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