ノギラン Metanarthecium luteoviride キンコウカ科 ノギラン属
 ノギランは北海道から九州に分布する多年生の草本。湿原の周辺や路傍など、やや湿った場所に生育する。葉は全て根生葉であり、ロゼット葉を形成している。時としてショウジョウバカマと混生し、見分けにくいことがあるが、ショウジョウバカマよりも葉が細く、葉の芽だしが筒状にならない点で区別できる。7月から8月にかけ、淡く赤褐色を帯びるクリーム色の花を咲かせる。
山道の切り通しに生育するノギラン山林火災跡地に生育するノギラン山道の階段に生育するノギラン
クリーム色のノギランの花序やや赤味を帯びるノギランの花終わり頃のノギランの花序
ノギランのツボミノギランの花
ノギランの根生葉ノギランの根生葉
ノギランの根生葉新しい切通しに定着したノギラン
 ノギランのようにロゼットを形成する植物は、基本的に競合する植物が少ない立地でのみで生育できる。地表面に葉を広げる方法は、支持組織にコストをかける必要がない点で有利ではあるが、高くなる植物が周辺に生育すると容易に日照不足に陥ってしまうからである。タンポポ類は季節的に競合する植物が少ない時期にロゼットを形成する。ノギランの場合は、春から秋にかけてロゼットを形成しているわけであり、競合する植物が、少なくともある程度の年月生育しない立地でなければ生育が困難であることになる。最上段の画像では、左から「山道の切り通し」、「山林火災跡地」、「山道の階段の脇」であり、当面競争相手が居ない。ノギランが湿原の周辺に多いのも、湿原の形成環境そのものが、通常の植物が生育しにくい環境であることを意味している。
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