ビンロウ Areca catechuヤシ科 ビンロウ属
 ビンロウの実は、興奮や覚醒作用のあるアルカロイドを含んでいるそうで、長距離の運転手などには利用する人が多いそうである。バスは運転手も含めて禁煙であるので、ことさらビンロウに頼っているようにも見えた。台湾の道沿いではこれを販売する屋台が随所にある。幹線道路沿いでは、夕方になるとイルミネーションが輝き、その中で露出度の高い服を着た女性がビンロウの実を販売している。バスの運転手はお気に入りの店があるらしく、時折停車して買い求めていた。
 ビンロウの実は檳榔子といい、長い柄のついた鎌などで収穫するとの事。若い実をコショウ科のキンマという植物の葉で、食用の石灰とともに包み込んだものが販売されている。噛むと赤色の汁が出て、これを道路に吐き捨てるので道路に点々と赤い汁が見える。噛むと最初はタバコをはじめて吸った時のような症状になるそうで、習慣性が高いので、虜になりやすいとの事。大量のビンロウが植栽されているのを見ると、多くの人が習慣になっているらしいことがわかる。台湾でも公共の場所は禁煙化が進んでいるが、喫煙する人も多い。習慣性のある薬物は最初は効果があるものの、習慣になってしまえば効力はない。台湾の農業におけるビンロウとタバコの栽培は相当なものであり、ある意味、まったくの無駄とも思う次第。
 ビンロウ側からいえば、アルカロイドを含む戦略は、個体数の増加という観点では成功しているといえよう。 
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