ヒマラヤスギ Cedrus dendara Loud. (マツ科 ヒマラヤスギ属) |
ヒマラヤスギは名前のとおり、ヒマラヤの亜高山帯が原産の常緑高木。ヒマラヤシーダー(スギの意味)とも呼ばれる。明治初期に導入され、庭園木として利用されている。 ヒマラヤスギの葉はやさしく見えるが触ると結構痛い。長く伸びる勢いの良い枝は長枝といい、1本づつ葉が出ている。この長枝からは毎年ほとんど伸びない短枝がでて葉がかたまって付く。光が十分当たる場合には、伸びずにその場所で毎年同じように葉をつけることのほうが、経済的だからである。 ヒマラヤスギの雄花序は夏には目立ち始め、小さな松毬状のものが枝上に点々と見える。長く伸びて花粉を放出するのは11月から12月にかけてで、この頃に小さな雌花序もあるはずなのだが、まだ見ていない。球果は翌年の夏には立派に生長しているのだが、梢にできるのでなかなかお目にかかることが無い。 10月の終わりには茶色くなって鱗片が開いているのが見られた。11月の終わりには鱗片がバラバラになって落下していたので、この頃に種子散布するのであろう。球果の先端部はばらけずにまとまった形で落下する。これがバラの花のようであるので シダーローズとよばれ、クリスマスのリースなどに珍重されている。 新宿御苑の古木も枝の出方が荒い。おそらく挿し木苗から育ったものであろう。下のほうの枝の太さが半端ではない。邪魔になるので切った枝の断面が面白い。下側ばかりが生長している。枝の年輪数は55ほど数えることができた。撮影は2004年なので、切り落としてあまり年月が経過していないようなので、1945年ころに植栽されたものであろう。 ヒマラヤスギが幹の上部で切られ、枯れてから引き倒されたものを見る機会があった。生育していたのは普通の宅地で特に土壌状態が悪いわけではないが、なんとも薄い根系であり、表面のみしか張っていない。これでは倒れるのも道理である。倒れて枝が地面に付けば、そこから発根して再生し、領土を広げるなどの戦略ぐらいはやりそうである。 |