タカネカラマツ Larix lyallii (マツ科 カラマツ属) |
アメリカからカナダの西部、主にロッキー山脈に生育する。英語名は Subalpine Larch または Alpine Larch。分布域が狭いので、カナディアンロッキーでは出会えない山も多い。落葉性の小高木で、低いところでは大きく育ったものもあるが、森林限界付近では高さ数mとなる。葉は長さ20〜35mm。球果は長さ2.5から4cmで、日本のカラマツに比べて長細い。材は強くて重く、耐久性が高いとのこと。 Larix lyallii が分布する山岳では、Abies lasiocarpa や Picea engermannii の森が海抜2200mを越えるころからLarix lyallii に代わり始める。カラマツは落葉樹で葉量が少ないので、森は一気に明るくなる。林床にも花が咲き、歓声があがる。Larix はパイオニアであって、岩がちな場所に多いというのが一般概念であろうと思うが、どうも少し様子が違うように思う。というのは、地形的に緩やかな斜面であり、場合によっては平坦地であることもある。土壌的には良好であるとはとてもいえないが、悪くもなさそう。 海抜2400mほどで低木状となって、ほぼ森林限界となる。結構急激な変化でその海抜差は200mもないと思う。急激な種の交代には、平坦地とか、凹地であるとか、冷気のたまりやすさなども関係があるのではないかと思う。樹高が5mほどのカラマツ林を歩くと、Larix lyallii が頭を下げて枯れている。積雪によって倒れて枯れたものと推察した。細いLarix lyallii は柔らかく、力を入れると弓のようにしなる。しなって雪崩などをやり過ごすのであろうが、時として埋没してしまうのであろうと思われる。元来明るい林がこのようになると林床はお花畑になってしまう。花咲く明るい森でのハイキングは実にすばらしい。 |