ロッジポールパイン Pinus contorta var. latifolia (マツ科 マツ属) |
アメリカからカナダの西部に生育する二葉松であり、4変種が知られている。カナディアンロッキーに生育するものがここに掲載したものでRocky Mountain lodgepole pine。葉の断面が平たいのでよれる傾向があり、ヨレハマツという別名もある。英語名はインディアンの移動用のテントの柱に用いるマツという意味で、細くて長く、軽いことによるのであろう。日本の海岸に生育する盆栽をイメージさせるマツとは大きく異なる直通の樹形である。 葉がよれるために、日本の二葉松のように葉が開出した状況にはならず、遠目にはマツらしく見えない。葉は密生して付くというよりは、不規則・バラバラで、枯れ枝も目立つし、枯れた個体も結構多い。過度に競合するために、枯れてしまうものも多いのではないかと思われた。手にとって眺めることができなかったが、枝は必ず節で分かれるということはないようで、葉の寿命は短いのか、枝の先端が試験管ブラシ状となっている。 樹皮は薄く、林野火災には弱いのではないかと思われる。球果は樹脂によって接着されており、通常ではなかなか開かず、長年にわたって閉鎖したままで中に生きた種子を蓄えている。火災に遭遇すると樹脂が溶解され、乾燥すると鱗片が開く状態になり、一度に散布されるとのこと。残念ながら今回は球果を見ることができなかった。あまり付かないのかも知れない。 樹高は13〜45mとの記載があるが、眼にしたものはそれほど高くはなかった。岩場に生育するものは樹形が乱れて日本のマツにも共通する印象があるが、河畔に発達している純群落ではたくさんの個体が密集して生育しており、肥大生長に比べて伸長生長が著しい、直通幹の樹形となっている。 若木の群落は新生の河原などに見られたが、近づくことができなかった。おそらく、生長は速いほうで、材は軽くて強度耐性はやや低い。近年、ホームセンターなどで販売されているSPF材(Spruced、Pine、Fir)のうち、Pine材として売られているものの中にこのロッジポールパインがかなり含まれているらしい。 |