ハナゴケ Cladonia rangiferina (L.) Web.  (ハナゴケ科 ハナゴケ属)



 ハナゴケはコケ(蘚苔類)の仲間ではなく、地衣植物である。 地衣植物は菌類と藻類の共生体である。高山から低地まで分布し、明るい尾根筋のアカマツ林や湿原の周辺にも見られる。晴天時には乾燥してパリパリとなり、踏みつけると砕けてこなごなになる。雨が降ると水を吸収してしなやかとなって、生き物らしくなる。
 尾根筋などの痩せたアカマツ林の林床や湿原の周辺に生育する。湿原の周辺に生育している例でも常に水浸かっているという状況ではなく、晴天時にはパリパリである。この乾燥と過湿という極端に異なる環境の共通点は、日照条件が良いことである。夜の露や降雨による水分で光合成を行っているのではないかと思う。
 岡山県ではハナゴケの生育量は少なく、湿地周辺に点在する程度である。おそらく、トゲシバリに比べてやや湿度を必要とするのではないかと思っている。
ハナゴケハナゴケ
 
 ハナゴケはトゲシバリとともに痩せ地の指標種である。これらの地衣類が出現するようなアカマツ林は、最も条件の悪い立地に発達していると評価できる。このような群落が発達している場所は、土壌浸食は顕著ではなく、森林を構成している樹木は針葉樹が主体であって、広葉樹はごく少なく、落葉量も少ない。生育しているアカマツやネズの生長もすこぶる不良であり、亜高木林にとどまっていることが多い。
ハナゴケ

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