トゲシバリ Cladia aggregata (Sw.) Nyl. (ハナゴケ科 トゲシバリ属)



 トゲシバリはハナゴケと同様に樹枝状に枝分かれする地衣類。共生している藻類は緑藻であり、光があたる表側は青緑色である。裏側は灰色であり、穴がたくさんあいている。
 生育立地はハナゴケと同様に痩せた尾根筋のアカマツ林や湿地の周辺である。乾燥する尾根筋と湿地の周辺という、乾燥と過湿の極端な場所に生育しているわけであるが、その共通点は十分な光が当たるということであろう。トゲシバリやハナゴケが生育するような場所は、落ち葉が少ないことが共通している。コナラやアベマキなどの大きな葉が落ちると、地表に生育しているコケ植物や地衣植物はたまったものではない(ネズやアカマツの葉であれば、少々は対応できるであろう)。急傾斜地であれば、これらの落葉はたまらなので生育しやすいが、トゲシバリやハナゴケなどの地衣類は尾根などの平坦地に生育していることが多い。コナラなどの落葉広葉樹が少ない立地でなければこれらの地表植物は生育できない。
トゲシバリトゲシバリ

注:トゲシバリの共生藻類は藍藻であると記載していましたが、これは小生の誤りであり、緑藻が正しい。
  コメントをいただきました秋田県立大学山本好和様に御礼申し上げます。(改訂:2001/01/07)

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