ヒカゲヘゴ Cyathea lepifera (ヘゴ科 ヘゴ属)
石垣島のヒカゲヘゴ石垣島のヒカゲヘゴ(1987/4)

 見事な木生シダにはじめて出会ったのは1969年2月、奄美大島での学生実習の時だった。ヤシノキを上回るかに思えるほどの樹高に驚いた記憶が鮮明に残る。先般ほぼ同じと思える場所を訪れたが、ひょっとかしたら同じ個体?・・・・どうでしょう。

 ヒカゲヘゴは高さ15mを超えることもあるそうで、ヘゴに比べて大きく生長できる。モリヘゴの別名もあり、高木として林冠を形成できるというニュアンスであろう。ヒカゲヘゴという陰湿な名称ではなく、サンサンと日光を浴びて空に向かって伸びていくモリヘゴのほうがふさわしい。奄美大島など、ヒカゲヘゴとヘゴが同時に生育している場所では、ヒカゲヘゴが天空を覆い、ヘゴはその下層に位置している。

ヒカゲヘゴ (奄美大島 2012/12)上から見たヒカゲヘゴ (奄美大島 2012/12)
葉柄には白毛状の鱗片が太いゼンマイ;食べられるらしい小葉に相当する部分
裏面の拡大
展開完了直前の葉

 葉は長さ2〜3mになり、2回羽状複葉。中段の葉の拡大は、小葉に相当する部分の拡大である。葉柄は白〜淡褐色の長い毛状の鱗片に覆われており、棘はない。葉は離層を作って脱落し、跡は逆八の字の導管列があって面白い。伸長期の幹では葉と葉の間隔が広いが、充実すると間隔は狭くなる。どのような場合も幹の先端には密に葉が付いているので、伸長期の間隔が広いのは、葉が脱落した後に伸びるのかもしれないと思ってみたりするが、観察の結果ではない。

 ヒカゲヘゴは奄美大島以南の琉球に分布するが、世界では東南アジアの山地に生育する。ここに生えていて欲しいというような場所に生育していることがあり、比較的簡単に植栽できるのであろう。

高く成長した個体の幹高く成長した個体の幹に残る葉痕
伸長期(?)の幹伸長期(?)の幹の葉痕
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