セイヨウワラビ Pteridium aquilinum var. aquilinum (コバノイシカグマ科 ワラビ属
 春のスコットランド、褐色に見えるのはギョリュウモドキ(ヒース)である。地形的には凹地、谷状の地形の場所が鮮やかな緑色になっている。どんな植物が生育しているのか・・・・・現場に行ってみることになった。到着してみるとワラビの群落であった。ワラビとは言っても正確には日本のワラビの母種であるが、和名が付けられていないようであり、ここではセイヨウワラビとしておく。英名はbracken。
 ワラビにはいくつかの変種があり、大きく見ればワラビは砂漠以外ならどんなところでも生育するとの記述もみられるが、多いのは湿原の周辺や荒地などらしい。調査中の観察では、確かに湿原の周辺の日当たりのよい荒地で最も優占しており、ギョリュウモドキの草原中の凹地も見事な群落であった。もちろん、分布としては森林の中にも路傍にも、どこにでも生えていた。
 ワラビには発癌性があることが知られており、牛などは食べさせれば食べるようだが、基本的に草食動物は敬遠する。下のギョリュウモドキの牧野は公有の放牧地であり、ヒツジが放牧される。ヒツジが選択的に植物を食べる結果、ワラビが繁茂するものと思われる。もちろん、夏緑性であるので冬は枯れて茶色になってよく燃える。日本でもそうであるように、火入の要素も否定できない。
 この地域のセイヨウワラビはすばらしく、太さは1cmと言いたいほど。ためしに生でかじってみたが、日本のものより柔らかい感じ。ものすごい量なので、まさに鎌で刈り取れるほど。
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