クリハラン Neocheiropteris ensata (ウラボシ科 クリハラン属
 岡山の沿岸域は乾燥しており、調節能力の低いシダ植物にとっては過酷な環境である。結果的にシダ砂漠であり、ホームページでもシダ植物が少なくなってしまう。単なる乾燥だけではなく、特に胞子から前葉体にいたる時期での乾燥が響くのではないかと思っている。

 ここに掲載したのは島根県萩笠山のもの。降水量も多く、地質的にも火山に由来するもので保湿性が高いと見えて、シダ植物が繁茂している。そんな場所にクリハランが群生していた。クリハランは葉に肋骨状のでこぼこがあり、胞子嚢がついていれば、ウラボシ科であって、あとは絵合わせも簡単。わかりやすいシダである。葉の肋骨状の構造は、最小限の投資できっちりとした葉を作り上げる工夫である。

 和名は栗葉蘭。でこぼこの構造がクリの葉に似ているから、ということだが、そういわれると確かに似ている。しかし、こちらのほうが、なんだかグロテスク。 クリハランは朝鮮の済州島、台湾の高山、中国、インドに分布するとのこと。広いですね。
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