セイヨウタンポポ Taraxacum officinale  (キク科 タンポポ属
 セイヨウタンポポの生育地は荒れ地であることが多いが、他の草本が生育している場所にも生育している。葉はアカミタンポポに比べて長くなり、ある程度の草との競合には耐えるようである。夏にも葉を展開しているので、秋から冬にかけてだけでなく夏にも時々草刈りされるような場所である必要がある。このような場所であれば、ロゼットでも生育が可能なわけである。
 セイヨウタンポポは刈り取られて地上部を失うと、地下の根に貯蔵した栄養分を使って葉を再生する。カンサイタンポポが地上部を刈り取られると休眠してしまうのとは対照的である。このような性質のため、芝生に侵入すると根絶することが難しく、ゴルフ場などでは害草として扱われることもある。
 セイヨウタンポポは北ヨーロッパでは春の貴重な野菜であり、栽培されている。花が形成される前に刈り取って出荷されるという。このような野菜タンポポは葉も大きく、地表面に広がるのではなく、葉が立ち上がっている。最初に日本にもたらされたものは、北海道に赴任した宣教師が取り寄せた野菜タンポポであるという。
 セイヨウタンポポにはたくさんの系統があることが知られており、芝生に生育する小型のものから野菜タンポポのような大型のものまで、様々なタイプがあって、ヨーロッパでは場所によってすみわけている。日本に帰化し、広がったものも多様な品種が幾度となく渡来したものと思われる。荒れ地に生育するもの、芝生に生育するもの、草丈の高い草地に生育するものなどは戦略が異なっており、隣接した場所に生育していても、それぞれ異なった系統のものと考えた方が良さそうである。
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