身近な生物学U 春2学期 | |
2-3.食物連鎖と生物濃縮
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@食物連鎖food chain
草→バッタ→小鳥→オオタカ といったつながりが食物連鎖の例であるが、実際には草はバッタだけに食べられるのではないし、バッタも小鳥にだけ食べられるわけではない。そして小鳥はバッタだけを食べるわけではなく、果実を食べることもある。このことでわかるように実際には生物と生物のつながりは1本の鎖ではなく、網の目のように複雑につながっているものであり、食物網(food web)という関係のほうが、現実の世界にあっている。 Aエネルギー同化率
陸上の緑色植物のエネルギー同化率は1%オーダーとされている。植物を栄養源とする草食動物のエネルギー同化効率は、栄養価の低い植物が食物であるだけにやや低い同化率にならざるを得ない。概数としては10%オーダーである。肉食動物のエネルギー同化率は高く、30%程度になる場合もある。 このようなエネルギー同化率のため、草食動物は長い時間を摂食行動に費やす必要があり、乾燥させれば燃料となる大量の糞を排出する。肉食動物は一度に高いエネルギーを得ることができ、食事に費やす時間は少なく、余暇がある生活を営むことができる可能性があるといえよう。 Bエネルギー同化率と栄養段階
草食動物と肉食動物を比較すれば、肉食動物は草食動物の1/10しか存在することができない。肉食動物を食べる肉食動物は1/100しか存在できないわけで、生息には広大な緑が必要になることになる。このようなルールを前提にすれば、栄養段階の数は4〜5に限定されることになる。これは、小さなものが大きなものに食べられることが前提となっており、寄生を考慮すれば、かなり栄養段階の数は増えることになる。 C食物連鎖と生物濃縮
上記のような物質は、食物連鎖の過程の中で、上位の生物に濃縮される傾向が高く、これを生物濃縮といいます。 DDT:有機塩素系殺虫剤。残留性た高く、分解しにくい。1981年に製造と輸入が禁止され、2001年に残留性有機汚染物質に指定されたが、2006年にマラリア対策として室内残留性噴霧を奨励する方針が出された。 環境ホルモンとして機能することが知られており、性の決定や発ガン因子として機能している可能性が指摘されている。 PCB:ポリ塩化ビフェニール。熱に対して安定で、電気絶縁性が高く、耐薬品性が高い。加熱、冷却用熱媒体、変圧器、コンデンサなどの絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙や印刷インクの溶剤など。脂肪組織に蓄積しやすく、発がん性があり、内臓障害、ホルモン異常を引き起こす。1972年に製造輸入使用を原則中止。1973年に法的に禁止。(カネミ油症事件) 水俣病(メチル水銀):新日本窒素肥料がアセトアルデヒドの生産に触媒として使用した無機水銀が原因。1950年代から1960年代にかけ、八代海に流れ込む水俣川に流した工場排水が原因。地域の魚介類の摂食が原因。1960年には新潟県阿賀野川で昭和電工からの工場排水により第二水水俣病が発生した。
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