身近な生物学U 春2学期 | |
2-7.生態系の物質循環U
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有機物の分解が停滞すると、栄養物質は分解されずに貯蔵され、生態系の循環から失われることになる。泥炭の形成が典型的な例であり、栄養分が含まれているにもかかわらず、分解しないので栄養分が放出さっれす、再び利用されて新たな生命を構成ることができなくなってしまう。 @温度要因
A酸素
BpH
これらの環境条件の他、植物から供給される有機物の化学組成によっても分解速度は大きく影響される。例えばアカマツなどの針葉樹落葉は樹脂を含んでおり、分解しにくい。地表に供給された有機物が分解されないと、物質循環の停滞が生じる。このような有機物が大量に蓄積された場所は、多量に栄養物質を保持してはいるものの、実際に生育している植物には栄養物質は供給されず、新たな栄養物が域外から供給されない限り、貧栄養な状態となってしまうのである。 地表に到達した太陽エネルギーは、再び宇宙空間に放出されることになる。地表面に到達したエネルギー量と宇宙空間に放出されるエネルギー量が等しければ、地表面は暖められることなく、厳しい氷点下の環境であったはずである。現実には、宇宙空間に放出されるべきエネルギーの一部はCO2、NOx、CH4、H2Oなどが吸収することによって宇宙空間に放出されることを妨げており、これを温室効果という。 太陽から地表面に到達する光エネルギーは地表面で吸収され、熱となる。熱に変換されたエネルギーは赤外線として宇宙空間に放出されることになるが、これらの一部は大気中の二酸化炭素などに吸収され、再度地球表面に向かっても放出されることになる結果、温室効果ガスの存在によって地表面は温暖な状態に保たれている。 現在問題となっている地球温暖化は、地表面の反射特性によって大きな影響をうけている。地球全体が雲で覆われているとしたら、ほとんどの入射エネルギーは反射されてしまうので、地表面にはエネルギーは到達せず、地球表面は寒冷な環境となる。 同様に、地表面が氷や雪で覆われていると入射エネルギーは反射してしまい、日照があっても氷が溶けることはない。地球が広く氷河に覆われていた氷河時代は入射エネルギーが反射してしまうという寒冷のサイクルが回転し、氷河期が継続することになる。氷河期が終了するためには、きっかけとなる何らかのイベントが必要であった。 同様に、一端地球温暖化が進行し始めると @気温の上昇による二酸化炭素の発生増大:気温が上昇すると生物の活性が高まり、有機物の分解速度は上昇する。このために地表面に堆積していた有機物や土壌中の有機物が分解し、二酸化炭素の発生速度が上昇し、より地球温暖化を促進する可能性がある。 A気温の上昇によるメタンの発生増大:湿原や沼沢地などの過湿地では、メタンガスの発生量が増大し、更なる温暖化を促進する可能性がある。 B水温の上昇に伴う水界への二酸化炭素溶存量の減少:水温が上昇すると気体の溶解度は低下する。 C気温の上昇による水分の蒸発:気温が上昇すると大気中に存在できる水蒸気の量が上昇する。水蒸気も温暖化ガスであり、大きな影響を与える可能性がある。 これらの現象は地球温暖化促進サイクルであり、一端始まると地球温暖化が進行することになる。 地球温暖化のメカニズムに関しては、人類の化石燃料消費により大気中の二酸化炭素が増加し、引き起こされたものであるとする説が主流であるが、太陽活動の活発化などがきっかけで気温上昇が起こり、これによって有機物の分解速度などが上昇した結果、空気中の二酸化炭素濃度が上昇したとする説がある。
@温暖化が進行するとどのような影響があるか ・植物への影響 ・昆虫など変温動物への影響 ・哺乳類など恒温動物への影響 ・気象への影響 Aどのような対策を行うべきか
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