・ ヒシ
 
 本種はエビモと同様に、保全区域の造成時に生育基盤として移設された底泥に混入して保全区域に侵入し定着しました。全ての保全区域において生育が確認され、特に側水路では5〜7月にかけて水深の深い流出部を中心に広く生育していました。当初ヒシの除去については、ひょうたん池、三日月池では手作業による除去を行い、側水路では重機を用いた除去作業を計画していました。しかし、本年度は生育の最盛期である7〜8月には、渇水により枯死し、9月以降は確認されなくなりました。一方、イトクズモは渇水による一時的なダメージはありましたが、9月以降の水位の回復に伴い、問題なく生育が確認されました。本年度の渇水は、ヒシにとっては、イトクズモ以上にダメージが大きかったと考えられます。また、12年度は結実以前に渇水により枯死したことから、13年度については生育量の減少が予想されます。さらに今後、ヒシが繁茂したとしても、生育の最盛期が7〜8月と、イトクズモの生育適期(4〜6月)と異なることから、ヒシの繁茂がイトクズモの生育に与える影響は少ないと判断されます。
 
写真 水位低下により生育が困難となる(H12.07.24) 写真 水が干上がりほとんどの個体が枯死した(H12.08.16)

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