追跡調査 その1 (1999年5月3日)
2月に実施した、水路の堰上げと導水路の掘削に関する追跡調査を行った。追跡調査の当日はゴールデンウイークの中日。「湿原祭り」のイベントもあって鯉が窪湿原は大にぎわいでした。調査に関しては、たくさんの来訪者の見守る中では十分な調査はできず、来訪者への状況説明などが主な活動でした。印象と若干の計測データを次に示します。
- 水量と水質
水量に関しては、冬季の対策施工時に比べて減少しており、部分的には水がまわっていない場所が観察された。しかしながら、現状を維持できれば適切な水量に近いものと考えられる。電気伝導度の数値は、20〜30S/cmの範囲にあり、貧栄養条件を実現できていた。
- リュウキンカの生育状況
第一印象としては、良好な生育状態。教育委員会の浅井さんの談によれば、生育範囲も広がり勢いが違うとのこと。しかしながら、ミゾソバ群生地においては株そのものは大きく繁茂しているものの、株間があいており、小型の個体が少ないことから、現時点においては新規定着個体が少ないことを示していると考えられる。
- ビッチュウフウロの生育状況
リュウキンカの間に点々とビッチュウフウロの株が展葉している状況が観察できた。生育状況は良好であったが、株数が少なく、リュウキンカと同様に昨年度に定着した個体がほとんどないことが推察された。
- ミゾソバの発芽状況
リュウキンカやビッチュウフウロの株間があいていいる場所には、ミゾソバの芽生えが多数見られた。水田の間に生育しているミゾソバは可愛らしいが、ここでは遠慮してもらいたい。この時期における芽生えの存在は、昨年度までの実績によるものであり、種子に蓄えられた栄養分を使い果たすと急激に勢いが落ちてくるのではないかと予想しているが、要観察である。
リュウキンカの群生・開花状況(遠景)
リュウキンカ開花状況(近景)
リュウキンカやビッチュウフウロの株間に発芽したミゾソバ