マタタビ  Actinidia polygama マタタビ科 マタタビ属)
 マタタビの葉は、茎の先端付近に白いものがあり、よく目立つ。この葉は、芽だしの頃は緑であり、その後に白い斑紋ができ、やがて再び緑色になるという。なぜそのように変化するのか、変化できるのかについて仲間内で話題となっていた。なぜそのようになるのか? と話しつつ標本を採取していると、学生さん達がおもしろいことに気づいた。葉を裏から透かしてみると、白色部分はやや暗いもののほとんど緑の部分と違いがない。ということは、葉緑素が少ないので、白色の斑紋ができているわけではない。葉緑素はちゃんと存在しているわけである。その次に、葉の表面を傷付けると緑になることに気づいた学生さんがいた。葉の表皮と、葉緑素を含む葉肉組織の間に例えば空気などを含む光が乱反射する構造が存在することになる。傷を付けると表皮と葉肉が密着し、緑色に見えるわけである。
 表皮組織あるいは表皮と葉肉との間に空気を含む層が形成され、光を乱反射して白色に見えるようであり、この部分が密着するか、水分が充填されるなどして光の透過性が高くなると、緑色に変化するのであろう。さて、その役割りは何であろうか? 開花時期に白い葉が目立つので、葉の陰に隠れる花の目印としての役割は? とのご意見をいただいた。同様な葉を付けるハンゲショウでは、訪花昆虫への目印としての役割りがあるそうなので、マタタビもそうである可能性が高い。しかし、葉が白い期間は結構長いので、だまされる昆虫も出てくることになる。個々の花の開花期は短いものの、次々と花が咲き続ける植物では有効な手段かもしれない。

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