ダケカンバ Betula ermanii (カバノキ科 カバノキ属) |
ダケカンバは北海道から本州の中部以北・四国、千島・樺太・朝鮮・中国・カムチャッカなどにに分布する落葉高木。北海道では低地に生育するが、中部山岳地帯では亜高山帯に生育し、安定した立地では樹高20mに達する。亜高山の森林限界付近では最も高海抜地で高木となり、ハイマツ群落の中に点々と生育している。雪崩の多い場所では低木状となる。 樹皮は若木では赤褐色から灰褐色で光沢があって美しく、薄く横にはがれる。老木では白色が強くなり、縦に割れ目ができ、風雪に耐えた樹形であることもあり、よく目立つようになる。葉は互生であるが、短枝では2枚でる。葉は三角状広卵形で、側脈は7〜12対。花は5月〜6月で、展葉と同時に開く。堅果には半透明の翼があり、風で散布される。 積雪と雪崩・強い風に耐えて生長したダケカンバの樹形は独特なものであり、妖気さえ感じる。カバノキ属の仲間の寿命はシラカンバに代表されるように、短いものが多いがダケカンバは長寿である。種子は風で散布される小型のものなので、侵入・定着は撹乱の結果生じた裸地であるに違いない。ハイマツ群落の中に立っているダケカンバの大木が侵入した時は、この地域が広い裸地であったはずで、なんとも想像しにくいほどの年月の中での植生遷移とダケカンバの寿命に感嘆してしまう。 |
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