ヒメヤシャブシ Alnus pendulaカバノキ科 ハンノキ属
 ヒメヤシャブシは北海道・本州・四国に分布する落葉低木。オオバヤシャブシと同様に、根に放線菌と共生する根粒状の組織を持っており、空中窒素の固定能力があるので、治山植栽や肥料木などに用いられてきた。禿げ山に植栽するので、ハゲシバリとの別名もある。昔は瀬戸内海沿岸域のマツ林にはたくさん生育していたものであるが、樹高はあまり高くならず、森林が生長するにしたがって淘汰されてしまい、少なくなってきた。当初の目的を達したと言えようか。葉の側脈は明瞭でたくさんあり(20〜26対)、クマシデ属の植物を連想させる。果穂は房状で3〜5個の球果を付ける。秋に熟し、堅果(種子)は両側に狭い翼があって、風で散布される。
 ヤシャブシとヒメヤシャブシの名前は、姫夜叉五倍子である。五倍子は、球果がタンニンをたくさん含むので、これを採るフシと同様であるとの意味だそうである。


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