イワシデ Carpinus turczaninovii Hance  ( カバノキ科 クマシデ属
 イワシデは日本の中国地方、四国、九州に分布するやや稀なカバノキ科の落葉小高木。大規模な岩壁や、痩せた尾根筋に見られる。乾いた日当たりの良い立地に生育するのを得意とし、土壌がほとんどないような崖地であっても、岩の割れ目やわずかなテラスに根を張り生育することができる。斜めに伸び上がったり、弓なりにしなって生育するのが得意だが、その反面あまり高くなることはなく、林として優占することはめったにない。ただ、小豆島の寒霞渓では、集塊岩の岩峰の斜面上部にイワシデの優占林する林がみられる。林内の低木層に生育することもあまりないので、陽樹の性質が極めて強いのだろう。
 岩の露出する岩壁がある場所で良く見かけるが、小規模な露岩地ではまず分布していないように思う。たとえば石灰岩地のように、景勝地の渓谷として有名となる規模の岩壁・露岩地・急傾斜地の面積がなければ、個体群として維持できないのであろう。そんな広い面積の岩壁や露岩地が形成される表層地質は限られており、それが分布の少ない要因だと考えられる。
イワシデイワシデの果穂
文章・画像:太田 謙

1.イワシデ  2.  3.  4.種子  5.樹皮と枝  6.紅葉  7.展葉
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