ケハンノキ Alnus japonica var. koreana Call. (カバノキ科 ハンノキ属
 ハンノキ属植物の根には放線菌が共生しており、根粒を形成している。放線菌は空中窒素固定能力があり、湿原のような貧栄養環境においても高木として生長できる。写真は鯉ヶ窪湿原における保全作業の途中において発見された根粒である。左の写真はケハンノキの根本、通常水位付近に4つの根粒が形成されていることを示しており(矢印の部位)、右はその部分拡大である。根粒の表面は粉を吹いた状態になっている。放線菌は元々強い好気性の菌類であるので、空気を取り入れることが可能な状態になっているものと考えられる。

 このような窒素固定能力は、湿原にとっては富栄養化の原因ともなっているにちがいない。落葉量は多くはないものの、ハンノキの侵入に伴って貧栄養な環境が中・富栄養の環境へと変遷するのではないかと考えている。事実、流水の水質に関しては、さほど違いがないと考えられる環境においてもハンノキ群落では植物の高さは高くなり、生産性の高さを感じることができる。


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