オオバヤシャブシ Alnus sieboldiana (カバノキ科 ハンノキ属) |
オオバヤシャブシは福島県から和歌山県までの太平洋岸に分布するが、ヒメヤシャブシと同様に空中窒素の固定能力があるので、治山や肥料木として用いられた結果、温暖な地方では広く植栽されている。法面などの緑化に播種されることも多い。 高さ10m程度にまで生長する落葉の小高木である。葉は長さ6〜12cmで、卵形〜長卵形。側脈は12〜16対。基部は円形であるが、左右不同。若葉時にはわずかに毛があるが、成葉は両面無毛。秋には緑のまま落葉する。花は3月から4月にかけて、葉の展開前に咲く。雄花序は長さ4〜5cmで頭は垂れ下がり、雌花序はより上部に1つが上向きに咲く。果穂は10月〜11月に熟し、長さ2〜2.5cm。種子(堅果)は長さ約4.5mmで広い翼があって風で散布される。 類似の種にヤシャブシがある。ヤシャブシは雌花序が1つの花柄から2つ付くものが混ざる点で区別される。砂防緑化にはもっぱらオオバヤシャブシがつかわれたのか、ヤシャブシはほとんど見られまい。 |