オグラセンノウ Lychnis kiusiana Makino  (ナデシコ科 センノウ属
 オグラセンノウは湿原に生育する多年生草本。1903年に熊本県の阿蘇で採集された標本に基づき、牧野富太郎氏が新種として記載した。この際、古書である本草図説に掲載されていた植物に当てはめ、オグラセンノウの名を付けたようである。その後、1921年に岡山県の哲西町で採取された標本に、サワナデシコという名が付けられたが、その後オグラセンノウと同一種であることが判明した。 オグラセンノウの分布は、熊本県阿蘇地方と岡山県北西部から広島県の北東部にかけての狭い地域である。
 オグラセンノウは、高さ1mほどにもなるが茎は細く、自立せずに他の植物に寄り添う形で生育している。生育立地は湿原の中ではやや栄養分の多い立地であり、イメージとしては貧栄養と中栄養のはざまといった環境である。
 茎は細く、高さ1m程になり、下向きに短毛がある。葉は対生し、長さは4.5〜11cm。基部が最も広く、両面には微毛が散生し、縁には毛がある。花は6月から8月に咲き、紅色。花弁の先端は繊細に分裂し、基部には付属体があって濃紫色の葯を付ける雄しべは10本。


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