コモウセンゴケ Drosera spathulata モウセンゴケ科 モウセンゴケ属)
 コモウセンゴケの果実は小さく、0.5mmほどしかない。モウセンゴケと同じように、紡錘形の袋の中に種子が入っており、水に浮く構造なのであろう。発芽すると直径2mmほどのまことに小さなコモウセンゴケになる。葉柄を含めてもわずか1mmほどの葉には、ちゃんと腺毛があり、虫を捕まえるメカニズムは備わっている。しかし、これほど小さな葉と腺毛でどんな虫を捕まえるのであろうか? 動物プランクトンならばサイズ的には問題はないであろうが、粘液による捕虫の機構は水中では役立たないと思うので、やはり小さな昆虫ということになろう。
 幼い苗には、根らしいものが見えない。元々根から栄養分を吸収することをあきらめた植物なので、表面から水分を吸収することで足りているのであろう。葉は、モウセンゴケの名前の由来となった緋毛氈の色は備えている。しかし、光合成に十分な量の葉緑素を備えているとは思えない。光合成によって生長する気はあまりないようである。
 ほとんど根がないので、水が流れると流されてしまう。また、水没してしまうと比較的短期間に死んでしまう。常に湿っているものの表水がなく、このような小さな芽生えでも虫を捕まえることができためには競合植物がないことも必要である。このような条件を備えた場所で新規定着が可能である。


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