ノウルシ  Euphorbia adenochlora Moor. et Decne.
 下の画像は、埼玉県荒川の田島ヶ原である。当地はサクラソウの自生地として知られ、手厚く保護されている。

 さて、少し範囲を広げて見てみると、田島ヶ原サクラソウ自生地は周囲の秋ヶ瀬公園や彩湖などと併せて、荒川の遊水地として整備されている。これらは都心を守る治水施設の一つとして荒川左岸に編成されているのである。
 サクラソウやノウルシなどの自生地が洪水時に水没することは、植物達にとってはほとんど問題ないだろう。洪水時に土壌が流れてくることが期待でき、持続的な群落の維持に貢献できるかもしれない。新たに帰化植物の種子などが流れてきて侵入することが懸念されるが、裸地でなければ侵入するのは容易ではないだろう。
 河川敷の土地利用のあり方として、貴重種の生育場所としているのは面白く、望ましいかたちの一つではないだろうか。これら一連の整備を行った経緯や、現在の管理体制が興味深い。
文章・画像:太田 謙
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