イヌブナ  Fagus japonica Maxim. (ブナ科 ブナ属
 イヌブナの花は、展葉と同時に咲き始める。雄花序と雌花序は、共に新枝の葉腋につき、長い柄をもつ。雄花序は葉腋に数個つき、花柄が細長く、さくらんぼの様にぶら下がる。球形の花序は、10数個の花が集合している。雌花も新枝の先端近くの葉腋につき、すでにイヌブナの果実になることを連想させる形をしている。
 所々に残雪のある早春のブナ帯を歩いた。あちこちに薄くクリーム色がかった木々を見かけるが、何か分からない。じきに、手の届くところにイブブナが花を付けており、遠景に見えた木々も開花したイヌブナであると気がついた。落葉高木で展葉を始めている木はまだなかったが、イヌブナが春の到来を告げていた。
文章・画像:太田 謙
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