ツブラジイ(コジイ)  Castanopsis cuspidata  (ブナ科 シイノキ属
 ツブラジイの親木が生育していると、その周辺地域では稚樹が生育し始め、ツブラジイの森林が形成される。教科書的には、森林の遷移が次第に進行し、最後の段階でツブラジイなどの常緑広葉樹が侵入して安定的に維持されることになっている。しかし、現実的にはコナラ林やアラカシ林などの中にシイノキの芽生えが見られる事はほとんどなく、松枯れの跡地などのほとんど裸地に侵入しているのが観察されることが多い。アカマツの枯損木の根元などから芽生えていることも多く、鳥による貯食行動が大きく影響していることがわかる。
 ツブラジイの材は菌に冒されやすく、中心部に腐れが発生しやすい。このためにツブラジイは寿命が短く、100年を超えることは少ないという。1つの幹としての寿命はそれほど長くないが、根元から萌芽再生する能力は高いので、株立ちになったものも多い。特に九州などの温暖な地域では、薪炭林として定期的に伐採されている。用材や薪炭用材のほか、シイタケのホダ木にも利用される。
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