ミズナラ Quercus crispula Blume (ブナ科 コナラ属
 ミズナラの新葉は5月のはじめ。芽だしの幼い葉は意外にしっかりしており、勢いがある。展開し始めの頃は葉脈の凹凸が目立ち、主脈の表側は白長毛に覆われている。
 樹皮は明るい灰褐色で薄く剥がれ、不規則に割れ目ができるが、コナラのように深い割れ目はできない。コナラやナラガシワに似ているものの、割れ目の面積が狭く、表皮全体にペラペラ感がある。巨木では割れ目が目立たなくなり、全体的に灰褐色のフレークに覆われたイメージのものになる。日頃見慣れたミズナラ特有の樹皮とは違ったものになって、なんの木だろうか? と双眼鏡を取り出さざるを得なくなる。
 材は優秀であり、家具材などに重用されてきた。戦前は、深山に残っていた巨木がインチ規格に製材され、海外に輸出されたこともあるという。現在の日本は木材輸入大国であるが、工業が発達していない段階では、日本も木材を輸出して外貨を稼いでいた時代があるわけである。戦前、アメリカ西海岸の鉄道枕木は日本のミズナラだったのかもしれない。
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