シリブカガシ Lithocarpus glabra (Thunb. ex Murray) Nakai (ブナ科 マテバシイ属) |
シリブカガシは近畿地方以西の本州、四国、九州に分布し、中国南部・台湾にも分布する。幹は多幹になることが多く、自然に株立ちになる。葉は長さ10〜15cmであり、表面は光沢があり、裏面は金光沢がある。シリブカガシの花は9月の終わりから10月にかけて咲く。堅果(ドングリ)は翌年の秋に熟して落下する。秋に落下するので春に芽生えるのかと思えば、発芽は実にゆっくりとしており、夏以降になる。ドングリをならせるブナ科の仲間は春に花を咲かせ、その年あるいは翌年の秋に種子を散布し、春に発芽する。シリブカガシの開花時期・発芽時期は他の種と飛び離れていておもしろい。開花期は別として、夏の発芽は植物の生い茂っている時期であり、夏でも草本などがあまり生育していない場所に生育するのでなければ、この時期に発芽する意味がない。シリブカガシの生育地は花崗岩地帯の尾根や岩場、急傾斜地などの乾燥する立地であることが多く、草本があまり生えていない場所であることが多い。 |